2020.10.04
医科に通われている患者さんの中で歯周病が悪化しやすい、またお口の環境によって病気に悪影響を及ぼす恐れのある方がいます。以下のご病気をお持ちの方
・1型・2型糖尿病
・心臓疾患
・脳血管疾患
・骨粗鬆症
・関節リウマチ
・アルツハイマー病
歯周病によって悪影響のでる恐れのあること
・低体重児出産・早産
・誤嚥性肺炎
・AIDS(潜伏感染HIVの活性化)
歯周病の治療によって全身疾患が改善傾向にすすむことも報告されています。
歯科に受診して歯周病の管理を始めましょう。
歯周病関連細菌が産生する酵素、炎症局所由来のサイトカイン、ケミカルメディエーターが血管に流入し全身に運ばれる結果悪影響を及ぼすと考えられています。
それぞれの関係について簡単に説明します。
歯周病変部位から全身へ持続的に流入される炎症物質がインスリン抵抗性に影響を与えるため糖尿病発症に関与する一因子と考えられています。
糖尿病に罹患している方は、歯周病の罹患率が高く重症化する傾向があり、血糖コントロールがうまくいかない患者さんほど重症度が高く、また重度の歯周病を放置しておくと、糖尿病の血糖コントロールに悪影響を与えます。
血管内に侵入した歯周病原性細菌やその病原因子などが、血流に乗ってアテローム性プラーク(血管沈着物)を形成、血管が閉塞されていくことにより心血管・脳血管の病気が発症しやすくなります。
歯周病は歯周病菌により歯槽骨が破壊され歯を失う病気ですので、本質的には骨粗鬆症と同じ骨です。
これまで、骨粗鬆症と歯周病の関係は、骨粗鬆症患者は、歯周病が悪化しやすい程度に考えられてきましたが、最近では、歯周病を治療すると骨粗鬆症が改善するという症例もみられる様になってきました。
関節リウマチの発症に先立って抗シトル リン化蛋白抗体(抗 CCP 抗体)という抗体が検出されます。
歯周病菌の一種であるポルフィロモナス・ジンジバリス菌(ポルフィロモナス菌)が、現在 知られている中で唯一シトルリン化を起こす酵素を産生する細菌であることが報告され、歯周病の罹患が関節リウマチの発症に つながっているのではないかと考えられるようになっています。
歯周病原因菌が出す酵素が全身に慢性的に流れることによりアルツハイマー様病態が誘発されることが明らかになっています。
近年、重度歯周病の罹患と認知機能低下との相関性が報告され、歯周病菌が出す酵素がアルツハイマー病患者の脳内に検出されました。
また、中高年者では特に歯周病がアルツハイマー病の悪化因子となることが示されています。
いわゆる妊娠性歯周炎は妊娠中の女性ホルモンの分泌が乱れることで、Prevotella intermedia(プレボテラ・インターメディア)という細菌の活動が活発化することが関係しています。
歯周炎の妊婦はそうでない妊婦に比べて低体重児を出産する確率が 6.6 倍も 高いことが明らかとなり、子宮収縮を促すプロスタグランジン (PGEs) が歯周病の進行と共に妊婦血中に増加し、胎児の成長に影響を与えたり早産をおこすリスクがあるとされています。
また、喫煙がリスクを著しく増加させるとの報告もあります。
歯周病患者が食べ物を誤って気道にいれてしまうと、歯周病菌も肺に入ってしまい、歯周病菌により肺炎をおこすことがあります。
歯周病患者の誤嚥性肺炎の発症率は口腔ケアを行うことによって減少させることができたという研究結果も出ています。
歯周病原菌が産生する酪酸はHIVのウイルス粒子の複製を起こりやすくする。
また、歯周病により血中濃度が上昇するTNF-αなどの炎症性サイトカインもウイルスの転写を促進します。
局所と全身的な因子の相乗作用によりHIV再活性化の可能性が高まる可能性があります。
少し複雑な話ですが、とても大切な話です。
上記のことを一言で説明すると、
ということです。
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